空に還る/
夕凪ここあ
ほたり ほたりと
流れていくものは
私の涙では ありません
手のひらに掬えば
ほんのりと色づいて
これは 紛れもない
星の溶けたものなのですよ
一粒 拾ってごらんなさい
瞬く間に空へと 還ってしまいますから
静かに
音もなく
闇夜
ゆるりと
包み込んで
指先が
触れる
欠片が
さらりと
流れた 蛍
あちら側から 風が
一斉に吹いたので
零れていった 星たちは
そっと その舟に乗って
行ってしまいました
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