春/さち
 

せつなさは
ほのかな香り
愛しさは
ほのかな温み

寂しさに
花びらひとつ
思い出に
花びらひとつ

甘く泣けるほどの
柔らかい痛み
そっと辿るだけで
蘇る泣き笑い

振り返るたびに
足音は遠のいて
淡く霞む景色に
溶けてゆく泣き笑い

花びらを
集めて笑顔
花びらに
埋もれて涙

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