ラプンツェルの小鬼 或いは内的な物語り/水無瀬 咲耶
白い皿の上には 色とりどりの魅惑の花びら
時代の風景が 魂の食卓にのぼる
カタカタカタ 窓ノ向コウ 記号化サレタ君ヲ知ラナイ
答エニ辿リツイテモ 身体ヲ置キ忘レ 今日モ浮遊スル
太陽神の車輪の下 小鬼はきうきうと細りゆき
ちしゃ畑の片隅でくるくるぴちぴち飛び跳ねる
火の雫に鞭打たれ甘苦い年月を食べてしまった
誰カノ祝福サレタ物語ヲ尻目ニ
教室ノ端ッコデ 飢餓ノ旋律ヲ抱エテイタ
狂おしくせめぎあう混迷の嵐
けれども時折 透き通る世界が交差することもあった
朗らかな野心で ちっぽけな歯車が動くかもしれない
小鬼は旅支度をした 地下の王国へと
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