帰り道/blue Ladybird
 
ぱちぱち

ぱちぱち

傘に当たる雨の音が
いつもと少し違い
メールを打ちながら歩くのを止め
頭をもたげた

23時。

ひとけのない夜更けの住宅街
濡れて黒くひかるアスファルト

そこにふり落とされている
銀色の粒
こまかな粒
暗闇で街灯のひかりを浴びて

冬の名残りの
雪とも雨とも呼べない
サラサラした
またたくまに溶け去る
その粒たちが

線香花火のような音をたてて
傘を
服を
地面を

ぱちぱち

鳴らして消えてゆく

ちいさなちいさな
拍手のように

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