カルタアソビ〜月に住む人〜/美味
月に住む人の一日は
朝日が昇るのと同時に始まります。
井戸水で顔を洗って
ニワトリとヤギに餌をやり
卵と乳を取ると
パンとスープで朝食をとります。
それが済めば
クワを持って畑を耕し
種を蒔いて、水をやります
太陽が真ん中くらいに昼食を食べて
夕食の食材を収穫すれば
一日の仕事の終わりです。
荒野の地平線を沈む夕日は格別でした。
夕食を食べた後は、お酒とチーズを持って
月の反対側に向かいます
そこで晩酌をするのが最近の楽しみなのです。
いつもの場所に腰を下ろして、空を見上げます
空には、ぽっかりと大きな黒い穴が開いていて
光が穴のふちを囲んでいます
その穴の中に、星のような固まりが
ピカピカと光って形を作っているのです。
家の外にある星とは全く違う
とても幻想的で本当に美しい光景でした。
月に住む人は、その美しい光景に、生まれる命。
という意味の名前をつけて乾杯しました。
月の夜は今日も更けていきます。
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