消えないでいて/とびまる。
顔が消えていくのを
思い出せるくらいなのに
いつも閉じたばかりのドアの前に立たされて
あたしにどんなことでもしてくださいと
あなたに言わされてしまってからは
それまでのあたしの記憶は飛んでしまって
見たこともない部屋でされたことがないことを
しているような気分になってしまう
それから先のあたしは何も考えられなくなって
何をしていたかなんてのはあなたにしか分からない
明かりをものすごく暗くして
あたしの服をものすごくゆっくりと脱がして
あたしの体のどこにも隙間がなくなるように
耳とか首とか肩とか胸とか背中とかおなかとか
おしりとか太ももとかふくらはぎとかつ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)