ogikubo/山田せばすちゃん
 
0号」で真夜中の金沢駅に降り立っちゃりしたのは、たまたま次の日曜日がお店の定休日で、たまたまおじさんから少しお小遣いを貰ったばっかりで、たまたま、金沢においでなんて俺が誘ったから、たったそれだけのことでしかなかったのだけれど。

八丈島で生まれ育ったという彼女は、フェリーに乗ったことはあっても国電じゃない電車(笑)に乗るのも初めてで、人影もまばらな最終のはくたか20号の自由席にぽつんと座って見る車窓からの風景は、どっちを見ても真っ暗で(片一方は日本海だし、もう片一方は田んぼだし)「あたしこれからどこへ行っちゃうんだろう」って不安な気分で東京駅で買った缶コーヒーを飲んだのだけれど。

金沢駅
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