美しい残像                        /前田ふむふむ
 
する、透明なあなたの残像が、
懐かしい時の場所と重なりあい、
すがすがしい空気の薫る爽やかさで
わたしのこころにとけてゆく。

もし、永遠という言葉があるならば、
記憶を運命が気まぐれに奪い取るまで
わたしのこころの中に生きている
あの美しかった情景は、
世界と同じ質量で、
均衡のとれた天秤の上にあるだろう。
まばゆい夢の美しい残像として

いま、あなたがいて
華のようなあなたがいて
変わることがない世界が、
いまも生命の朝を
描いている。


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