「静かの海」綺譚(21〜31)/角田寿星
 

 21

アリストテレスと荘子の対話
アンデルセンとジェイムズ・ジョイスの対話
モーツァルトとフレディ・マーキュリーの対話
カフカと稲垣足穂とダリとガウディの対話
地球と月の対話

ぼくも仲間に加わりたくて
頬づえをついて そっとむくれていた


 22

胸に両手をあてて
心に溜った砂を掘り起こす

春の夜は更けゆく


 23

結露が融合して水滴となり
やがて奔流となって流れ落ちる
その鼓動に合わせてどこからか
歌がきこえる 祈りの歌
歌もまた融合してうねりとなる
うねりにのって狂おしく響くバイオリンの泣き声

ぼくはちょうど 楽
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