向こうの商店街/美味
トイレの向こうは僕の知らない世界でした
というより知らない商店街だった
肉屋を始め、魚屋、八百屋と
食べ物を扱う店ばかりが目立ったが
中には薬屋や酒屋もあるようだった
店はどこも活気に溢れ
不景気も何のそのといった感じだ
ここは何処ですか、
と近くを歩いていたおばさんに声をかけると
おばさんは僕の姿を見るや否や
有名人に会ったかのように歓喜の声を上げた
そして、その声を聞いた周りの人たちまでもが
ざわざわと集まり始めた
何故だか知らないが
皆は僕のことを知っているらしい
しかも、最近の食生活の乱れや
ついこの間、風邪を引いていたことも知っていたのだ
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