生身の女/花丸ぺけ
生身の女に触れたことがない。
画面の向こうだったり、ネットの向こうに女がいる。
女の中に入っていくのは生まれ出た瞬間から所詮無理なことで。
いくら触ろうとしたって遠ざかる。
そして成りきろうったって無駄だった。
生身の男がそこにいるだけだった。
話しかけても無駄だった。
生身の女を見ることはいつだって出来るのにな。
勘違いした恋は少年の男を女と見間違えたことから始まった。
生身の女には触れたことがない。
いくら触れたってそれは女じゃない。
男と見間違えたフれた女だ。
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