壁/瀬冬翼流
 
見たこともない黒い服来た人間が
後ろから追いかけてくる
銃を乱射してくる
はぁはぁと息をつく間もなく
私は走って 走って 走って 走って

あ   あし  足が

上が  ら ない


思い切り蹴り上げたつもりの足は
地面から離れていかない
いつもの勢いなら
ポールについたチェーンを
飛び越えれる位なのに


仲間が 友達が後方で
バタバタ倒れ始めたから
両脇から抱えて助けてやる
もう少しで逃げる余裕が出来る場所にいけるから


怖くはない
こんなところでへたばってられっか
足が上がらなくても
苦しくて 苦しくて
どうしようもなくても
ここで立ち止まっちゃいけないんだよ



そうだ
逃げるのやめよう



戦ってみよう
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