BROTHER SUN SISTER MOON/クリ
 
ら トンネルを通るのさ

どんぐりの渋皮を取りながら眺めよう
虎の子が水たまりに映る自分を見ている
僕は頷く 君は笑う
僕のお話の初めから終わりまでが ひとつの言葉
聞きのがしたら いけないよ


 ●月がもっと近かった頃

昔々、恐竜が空を飛べるほど重力が小さかった頃
一日はもっとずっと短くて朝ご飯食べながら昼食の用意もしなくちゃならず
でも恋人たちには翼があった
今は翼もなけりゃあ、言葉もない。正確に言うと言葉を解する能力がない
恋人たちは何も話していない。ことだまから「たま」が抜けてただの「こと」
尻尾の名残はあるものの、翼の痕跡は完全犯罪のごとく消失
もっ
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