手のひらの子。/クローバー
 
外しました
ボクは、泣いていました
そんなことは、なかったけれど
そんなことがあったかもしれないのだと
理不尽な手のひらの穴に
穴の中の子供に、嫉妬しました

今日も公園はいつもどおり広くて
ひとりぼっちが、たくさんいるように見えました
でも、本当は、ひとりぼっちは、ひとりぼっちなのです
みんな、誰かが来ていなくなるのですが
それでも、ボクはひとりぼっちだと、思いました

手のひらに目線を戻すと穴が
少し大きくなったような気がしました
いつか手のひらの穴が、ボクが入れるほど
大きくなったら
人気者で幸せな子供と入れ替われるほど
この穴が大きくなったら

ボクは子供を引きずり出して
彼にボクになってもらおうと思います。


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