手のひらの子。/クローバー
何も抱えることのない手のひらをじっと見つめたまま
少年は立ち尽くしていました
その姿がひどく淋しそうに見えました
ただ、手のひらを見つめていました
少年は手のひらを見ていただけでした
友人が、やってきて
手をつないで、走ってゆきました
幸せそうに走っていきました
手のひらを見つめているのが淋しそうに見えたボクが
本当は淋しかったのです
ハッとして
宇宙に放り出された、オリオンは
今日も蠍から逃げていました
それは、ボクには関係のない話でした
缶を蹴飛ばしたら
タバコの灰が入っていて
ズボンが濡れてしまいました
そんなことより、このにおいが嫌いです。
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)