「再生」(novel)/とうどうせいら
 
*** 

 覚えている中で一番古いのは、あの頃のこと。
 あの人は確かにいたのだ、私の腕の中に。
 美しい娘だった。白亜の城に住む、姫君。二十歳になったら国を継ぎ、女王として世を治めることを約束されていた。
 あの白磁のまぶたを閉じて、彼女は泣いたのだ。
 ――何故、別れなくてはならないの。同じ人間なのに。何故あなたが死ななくてはならないの。こんなに、あなたを愛しているのに!
 身分違い。臣下の身である私と、姫の恋仲が暴露され、私には死刑の判決が下った。刑の執行前夜、あの人は私にすがりついて涙を流した。
 何と言ってよいか分からなかった。ただ、彼女が泣けば泣くほど、胸が締め付けら
[次のページ]
戻る   Point(5)