眼鏡ハート見え〜る/美味
一つの怪しい露店が私の目を引いた
店はガラクタのようなものばかりが
騒然と押し並べてあり
店主は私の存在に気が付くと
すかさず、変な眼鏡を勧めてきた
店主の説明によると、
この眼鏡をかけるだけで、人の心が読めるのだという
黒ブチでいかにも胡散臭かったが、値段も安かったし
何より店主の臭い息が、私の顔にかかっていたので
一刻も早くこの場から逃げ出したくて
二枚の紙幣を渡して、その眼鏡を買った
たとえ店主の話が嘘だとしても
買った以上使わねばなるまい
早速、道行く人たちの心を読むべく
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