手のひら/石川和広
いのちの外れをふらついて
月が見える窓にもたれる
二月の終わり
ねむいは深い深い深い
ベッド
指先がまくらの影をつきさして
おきあがれない
おきあがれない
芽がふくらむ季節
わたしの詩はだめなのか
それすらもわからず
書けることにやみくもに感謝
書く
書くという行いの中に
たたずむ光
おきあがれない
倦怠を生きるわたし
ほら 呆けているような
強い葛藤があり
思うままにならない記憶
よみがえってくる
よみがえってくる
生まれる前まで
やがて昼過ぎ
ふらり
目が開いた
目が開くまでの時間
おねしょをする
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