手のひら/石川和広
 


いのちの外れをふらついて
月が見える窓にもたれる

二月の終わり

ねむいは深い深い深い

ベッド
指先がまくらの影をつきさして
おきあがれない
おきあがれない

芽がふくらむ季節

わたしの詩はだめなのか
それすらもわからず
書けることにやみくもに感謝
書く
書くという行いの中に
たたずむ光

おきあがれない
倦怠を生きるわたし


ほら 呆けているような
強い葛藤があり
思うままにならない記憶
よみがえってくる
よみがえってくる
生まれる前まで

やがて昼過ぎ
ふらり
目が開いた
目が開くまでの時間
おねしょをする
[次のページ]
戻る   Point(8)