親愛なる友へ/鈴木(suzuki)
君が見せてくれた遮光カーテン
買ったばかりの一級品は
縦に入った切れ筋から光を漏らしていた
その情景は、僕にはとても美しく見えたよ
一振りの勇気さえあれば
こんなにも明るいものなのだろうと。
友よ、僕を許しておくれ
あんなにも君が心から僕に教えてくれたのに
僕には出来なかったよ
僕を覆う暗幕を切り裂くことは
だってそうだろう
光を通すそれは、もう、"遮光カーテン"ではないのだから
その一振りは、たった一度の僕の意志は
僕のまわりの全てを否定してしまうのだから。
だから僕は、僕が出来るたったひとつのことをするよ
長いレールの下、続く幕が光を消してしまわぬように。
じゃあね、僕は先に行くよ。
これもまた、一つの答えなのだと
僕はそう思うから。
僕は行くよ。
ばいばい。
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