世迷いごと/
竜一郎
焔の中で焼ける世界があって
その火の温もりに包まれて育ったのが
わたしたちなのは、悲愴なこと。
わたしたちは、それゆえに
世界の叫びを聞き取れないのだから。
声をあげても聞き取れない耳を持ち
音楽に感動もできない乾いた心を育み
ただ火酒に喉を焼く日々を送り
雑踏に唾して警察に捕まるだけのおれを
誰かが救ってくれたなら、と
つまらないルンペンが寝言で呟いた。
それを見た人が
最初に哲学を広めようと考えた人で、
言葉はすでに祝詞であった
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