二月のバラッド/狸亭
 

明けても暮れてもジューセンいかにせん
つついてもつついても藪の中 悪い奴ほどよくねむる
背広とネクタイきちんとしめての総力戦
おれのせいじゃあないおれだけはと生き残る
だれもかれも似たようなしぶとい面してはびこる
いまや不動の大地なく理想の青空なく人間の倫理もない
寺田透も逝った司馬遼太郎も逝ったとうろたえる
めぐりきた五十八回目の誕生日はなんともはや味気ない

生きてる奴が信じられないこりゃいかん
祖父母の時代へ父母の時代へとセピア色のヴェール
の彼方海の彼方雲の彼方いざ還暦の彼方へと赴かん
不忍画廊の没後五十年林倭衛展最終日の真昼
「爆発するただ一瞬があればいい」
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