「ハーメルンの笛吹き」のこと/竜一郎
 
 「笛吹き男」の話を聞いたのはいつだったか覚えていない、
けれども、強く印象に残ったためか、話の筋は覚えている。

 ペストが蔓延する時代にその病原菌を運ぶネズミを
どうやって村から追い出そうか思案していた村長のところに
笛吹き男がやってきて、こう提案する。
「わたしがネズミたちを連れて行ってあげましょう。
 代わりに…をください」
と、
代わりに何を求めたのかは忘れたが、
村長にとってはとても大きなものだったのだろう。
笛吹き男がネズミを連れ去ったところで村長は居直り、
「おまえにはやらん」と言ってしまった。
そして、笛吹き男は約束を破った代償として
村から子ども達の
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