うたの肖像/銀猫
 
うたを綴る
ひとつ ノォトに
うたを紡ぐ
ひとつ こころに
今日の言葉を装い
明日吹く風を纏う

雲に似て
恋に似て
刻々とかたちを変えるその憧憬を
留めるため

小さな引き出しや
オルゴールの宝石箱から
文字の欠片をひと粒ずつ取り出して
わたしは糸を通してゆく


そうして
未だ輝くことを知らぬ詩を描いては
をさな児のようにそっと抱いて
隠れ家に運ぶ


初恋のきみの声が
消えかけても
陽に焼けた紙の上で
あの頃、は
少し埃を被って
いのちを守っている

永遠が
容易く手には入らぬものなら
うたいたい
うた を ひとつ
うたいたい
恋に染む色で


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