此処にいない猫/A道化
片を受け入れる角膜の ように
雪を受け 無抵抗にくすんでいて
そのアスファルトの諦めの視線が空を仰ぐのは
決して 憐れではないと
そういうことを教えてくれ
そう祈るようにして
アスファルトに面する空へ空へ角膜を仰がせながら
膝 屈した
此処に居ない猫ならば 何処にも猫など居なくていい
此処に居ない猫ならば 何処にも猫など居なければいい
此処に 要るのだよ
此処に 要るのだよ
ああ
わたしは 此処に居るけれど
わたしは此処に 要る人か
どんなことも
本当のことも
冬には教えないでくれ
そう祈るようにして
わたしは出来る限りわざとらしく
わたしを 限った
わたしは納得の上
わたしを 限った
2004.2.2．
戻る 編 削 Point(7)