5番街ホール/湾鶴
 
すりへった石鹸が
ひら ひら と
拍手の渦に埋もれてゆく

ビニールホースに合わせ
こぼれるシャンソンの音色は
か ぼ そく とぎれとぎれに
五線から はみでる 

酔いしれるうちに
着物のようなカーテンが
しずしず 降りはじめ
泡立った拍手がホールを満たす

そしてまた
ここの石鹸は少しだけ小さくなる

戻る   Point(4)