夢/蒼木りん
 
昼寝する前に
いい夢が見れますようにと
呟いてみたら
いい感じの夢を見た
冬じゃなかった
色がついてた
柔らかだった
安らかだった
こっちの世界に返りたくなくなった
だけど
それは嘘っぱちだから
途中で途切れたまま
もう眠れなかった
戻れなかった
かなしいな
かなしいな
理由も分からず
なんだかかなしい
何も見たくなく
何も考えたくなく
何も不安がることもなく
何も心配することもなく
朝が来ることに疲れないですみ
午後になることにため息つかないで
炎を見つめている
水の流れを見つめている
嗚呼このかなしさは
ほんの数十分さきの未来を
ときめかせるための
予言を導き出す
身体が重くて
魂が不自由がっている
気に入った男に
可愛がられ
気に入った男を抱く
さよならをしたあとは
何もかも洗濯して
ひとりで眠る


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