長い坂/アマル・シャタカ
 
人生を
長い坂に喩える人がいる

きっと僕もその長い坂にいるのだろう
どのくらいの地点かはわからないけど

どうして登るの?
と聞いてみたくて見渡した

登山家みたいな人が近くにいたが
答えそうなことがわかるので
見送った

若者が行くので聞いてみた
坂のてっぺんから世界を見れば
気持ちいいでしょう?
と彼は答えて そそくさと行った

中年の男性が煙草をふかしながらいたので
何をしているの?と聞いてみた
知らぬ間に家族の姿が見えなくなったので待っている
と彼は言って 4本目の煙草に火をつけた
煙草の吸殻は坂を転げていくように見えた

坂を下りていく女
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