やがて、すべてのことへ/霜天
遊覧する飛沫の、そのすべてが着地すると
手のひらには鍵だけが残った
閉めきられた通りに沿って
左から五番目の鍵穴を覗く
その向こうには、空だけがあった
やがて、という
一括りに出来た時間が終わると
透明なものが急に増えた
丘の上、曲がり角、屋根の海
次第に街の音も冷たくなっていくので
口に手を添えて次に、待っている
季節に区切られて
僕らはいつでも眠ることが出来た
そして手紙は、いつも通りに僕の元に届いて
相変らず僕になっていける
見知らぬ顔の、人たちが増えた
ハロー、それだけを覚えておけば
特に困ることも無かった
そして穏やかな顔をして
人たちは
一番近い場所から海に戻っていく
右手、左手、声、記憶、やがて、すべて
いつも通りの、ハロー
それから
すべてのことへ
すべてを添えて
繋がるための線を求めて
とりあえず、眠った
その夜には一番に
種を蒔かなければならないというのに
丘の上、曲がり角、やがて、すべて
花に消える匂いの跡を思い出す日のために
今はただ、眠った
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