ビー玉遊び/紫音
 
  感情の表層を抉るように
例えば それは
 ビルの谷間を駆け抜ける

 横溢する鬱屈のアニマに
  放置された
 束の間の雨季

羽化しかけの蛹さえ
約束されたその日があり

孵化しかけた卵さえ
光明の中に抱かれた明日があり


  アスファルトを熔かす熱線

 ガラス窓を砕く寒波



  時として失われてゆくとして

 イミテーションの器に彩られるのは

偽りのイルミネーション


  瞬きの間に

 そそくさと通りゆく足音のように

それは霞んでゆく


 君は誰 誰は君



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