足/
壽瀬 チカ
てゆくのだ
地下鉄から上り
出口だと思って吹き出された
それぞれの足は
やはり最初に
白いラインを渡ってゆく
朝
はいている靴はめいめい、意識されないまま
足は確かに動いて渡ってゆく
わたくしの手は
キーボードの上に置かれたまま
ただ入力と変換とクリックをくり返し
足は萎えたように、デスクの下
指先だけが液晶画面を前にキーをたたき
眼を上げると
渡っては霧散する 見知らぬ足達だけが渡ってゆく
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