一月のバラッド/狸亭
っ風もなく小春日和のアンデンティーノ
「水と緑の詩のまち」前橋文学館はなかなかのもの
「ふるさとは」やっぱりとってもいいものでして
「風に吹かるる」とおい日のずっとむこうの
「わらべ唄」がイヤリングをはずした耳にきこえまして
「今朝の秋」はまたかくべつの思いを元総社村の
「ふるさとに似たる」こころの奥のあやしい色の
「風そ吹く」伊藤信吉さん九十年のハイライト
上州の風の色の中ですぎた四時間だけの果報者
ぼくにはふるさとがない窓のむこうの闇をみつめる帰途
酔っていなけりゃやってられないから吹雪の網代の
防波堤でふるえながら釣糸をたれると
魚なんぞはつれなくて猫に笑われ道化者
温泉につかり宴会酒でふとってる似非アナキスト
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