さぼってん/蒼木りん
庭の境に置いたサボテンに
猫が吸い寄り
すんすんしてる
ちくちくしても
まだやってる
サボテンが棘を引っ込める
わたしが触ったときには
刺したくせに
恩知らず
呼んでみるけど
わたしに用はないらしく
藪に逃げていくしっぽ
人に合うより
わかってしまうこんなこと
わかんないのは
他人がわたしに求める事柄のこんがらがり
わたしに何をせよというのかい
用意されてた世の中に
数合わせで生まれ来てみたが
刷り込みのない人間に
目的はこれですなんて言われても
ピンと来ない
拝啓
人間意外です
変わらないものといったら
歴史の果てに
コンビニに凝縮された生活の
商品棚では
小さな争いを好んでしているから
農耕は狩猟に巻き込まれて
場違いかしらと去れもせず
わたしはここでさぼってんです
代償とは
こういうことなのかな
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