温泉にて、お月見/広川 孝治
つまり、今の自分には、過去の人々が感じたような月に対する思いを感じ取る点で、決定的に欠けている部分がある、というわけだ。
勿論、徹底的な調査を行ったわけではなく、ただ、自分の知っている情報から類推しただけなので、間違っている点は多々あると思うが・・
そんなことを考えながら、湯に浸りつつ、月を眺めていた。
静寂の中で真円の白い光を浴びていると。
そんなことはどうでも良くなってくる。
いつの時代の人がどう感じていたかなど、どうでも良いではないか。
いずれにせよ、今の自分が、この月の明かりを眺めて、その美しさを愛
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)