Lumiere 〜光〜/セキラボ!
 
ている体が浮腫む
耳障りな音が篭る

逃れられないのだ夜からは

俺は熱を持て余している
影法師が焦がれているような、月

ああ、終わってしまう、夜が、一人に、なのに


   ※


<Voyagez en jet le noir>

会社帰り
家に帰っても家事が待っている
疲れた体を引きずって
真っ暗な家路だけがそこにあった

母がよく口ずさんでいた歌が脳裏をよぎった

点らない街灯の下を過ぎ
口笛を吹く、記憶が頼りだ
よちよち歩きだな、まるで
母さん辿れないフレーズがある
音楽はもう風化してしまったよ
母さん、もうきっと想い出せない

家にほど近いコンビニが煌々としていた

僕は心細い安心を覚えたのか
ほろりと零れた


   ※


窓辺にぼんやりと光がくべられていた
雄太は窓を開ける
広がる草の匂い
近くの遊園地からの嬌声
ベランダに

母さんのかすかな歌声が聞こえた








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