片恋連歌/北乃ゆき
1
・
閉ざされた
扉の中にふたりきり
彼女もしらない
わたしだけのきみ
2
・
きみの為
何もできないわが身ゆえ
泡となれる
人魚を羨む
3
・
やみの中
ただ消えていく
きみの名を
発してしまう
かなしき唇
4
・
恋色に
染まりきった
我が瞳
それを見つめる
曇ったきみの目
5
・
ひとつだけ
きみの為にできること
この狂愛を
消す事でした
6
・
一度きり
きみに伝える恋ごころ
一度きり
色を持った
恋ごころ
7
・
別れさえ
静かなものでありました
さよならさえ
求められない
わが身ゆえ
8
・
年かさね
幾他の男と交っても
心に根付く
きみの面影
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