少女は感情移入する/千月 話子
切り絵(題材)
「少女」
ただ真っ白い紙でした 私たち
切り絵師は 無を有にする
柄に美しい細工を施した
銀色の先端鋭いハサミで
すんなりと手足の伸びた
可愛い少女を しゃくしゃくと
切り抜いていきました
中側の私は
カールした髪に星の髪留め
ふわ と広がるスカートに
水玉を ぽつりぽつり散らし
黒い台紙の上で
少女画集の扉絵のように
清楚な姿を 演じておりました
紙を尊ぶ切り絵師の手に
枠側の 少女
白い余白に生き生きと
太陽・雲 花蝶などを刃先で描き
黒い台紙の上
おとぎばなしの始まりを演じますよと
動き
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