黒アゲハ/まれ
 
ちいさなものを拾いました
街灯の下では真珠のように見えました
家に帰ってながめるとパチンコの玉のようでした
六畳間の蛍光灯のせいです

蛍光灯のせいにしたので
  もういちど
見直してあげようと窓の外の光に掲げました
くろい羽根が二枚 生えて
      飛んでいきました

彼らが闇に住むのです
妄想が闇をつくるのです あなたとわたし ふたりでつくろうと
   願ったのです
新月の病みをアゲハ
    飛んで
  世界の夜を巡るのです

枕元でぱたぱたと羽音のすることもあるのです
戻る   Point(4)