黒アゲハ/
まれ
ちいさなものを拾いました
街灯の下では真珠のように見えました
家に帰ってながめるとパチンコの玉のようでした
六畳間の蛍光灯のせいです
蛍光灯のせいにしたので
もういちど
見直してあげようと窓の外の光に掲げました
くろい羽根が二枚 生えて
飛んでいきました
彼らが闇に住むのです
妄想が闇をつくるのです あなたとわたし ふたりでつくろうと
願ったのです
新月の病みをアゲハ
飛んで
世界の夜を巡るのです
枕元でぱたぱたと羽音のすることもあるのです
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