ユニコーン/光冨郁也
 
 日曜日にわたしは、レジャーランドで、クリスタルのユニコーンを買い求め、夜のバスで家に帰る。窓の外は、暗がりの裂け目。
 窓には夜の空。自宅の浴室でうっすらとしたヒゲをそり、黒いセーターに着替えた。まだ肌が乾かないうちに、わたしは、部屋の窓から外を眺めていた。駐車場に、広く雪が積もっている。街路樹がわずかに揺れて、雪が落ちる。遠く、馬のいななきがある。近づく、ひづめの音は、雪に消されるかのように、静かに。明かりに照らされる馬の背から、だれかが降りる。ほかにひとのいない道に、影が歩く。ゆっくりと、下まで来て、止まる。影は上を向き、わたしに向かい手を差しのばす。冷たい窓ガラスを通り抜け、わたしの手の
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