てっぽう/yo-yo
んだん言葉が少なくなってゆく
口ばかりぱくぱくやっても
言葉なんか泡ぶくみたいなもんだ
とうとう俳句ふたつぶんくらいしか喋べれなくなった
それがおんじゃんの一日だ
そして俺の一日も似たようなもんだった
唇がぴりぴりになったら
そのあと
どうなるんだろう
旅に病んで夢は枯野をかけ廻る
おんじゃんの句もなかなかのもんだ
さいごに怒らしてしまった
われはあほか
芭蕉も知らへんのか
そうだよ枯野をかけ廻っていたんだ
おんじゃんの夢も俺の夢も
それから四日後におんじゃんが死ぬなんて
あほな頭じゃ考えられなかった
おんじゃんは
辞世の句も残さなかった
もちろん
フグの毒にあたったのでもなかった
* てっぽう=フグのこと。
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