ふんわり風がふいて/スモモ
キミを見つけた。
あの時、ふんわり笑ったキミにボクの胸はときめいたんだ。
確かにボクに笑ってくれたね。
でもボクは知っているんだ。
キミの瞳がいつも前を向いていたことを。
ボクの心をみようとはしていなかったことを。
あの時
風が吹いて
空気が揺れて
キミの髪をなびかせた。
キミの瞳を動かすことができたのはボクじゃないんだ。
それは風なんだ。
だから
ふんわり笑ってくれたキミに
ぼくはドキドキして
下を向いてしまった。
でも、確かにボクに笑いかけてくれたんだよね。
風がボクのほうに吹いたから。
戻る 編 削 Point(2)