完成を待つ波の詩/瀬冬翼流
きぃ・・・・・・・きぃ・・・・・・・・・・
ゆ・・・・らゅ・・・・・・ゅら・・・・・・
ゆ〜らゆ〜ら 大きなゆりかごの中のあたしは
とても小さく 仰向けになって浮いている
空が眩しくて 目が開けていられないから
自分の体がどこにあるのかがわからない
ここはどこだろう 冷たいのに暖かい
誰かの大きな腕の中で
夢魔にうなされている私をなだめるように
またゆらめいて ゆらめいて
熱いアスファルトに立つまで
黒い漆塗りの盆に
銀色の月の百合をこっそり飾り
星のカスミソウを散りばめる
潮の香りとカモメの夢を運んでくる
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