心の色/さち
なつかしい歌を
久しぶりに聴いたから
あの頃読んだ詩の一節を
ふっと思い出したから
永遠だと信じてた時間が
いつの間にか
過ぎ去ったことに気付いたから
絶え間なく変わり続ける
「今」の中で
自分を確かめたくて
ふるさとの海に還る
大人じゃなくて
子どもじゃなくて
名前じゃなくて
“私”で居ていい と
胸に直接言ってもらう
眼を閉じて かみしめて
眼を開けて
そうしたら
空が見えた
囲いのない
空があった
この一瞬の連続が
全部 私自身になるなら
絶え間なく変わり続ける色
だったとしても
私じゃない何かで
塗りつぶしたり しない
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