てぃんさぐの花/まほし
 
私の父は沖縄生まれだから
血の半分は南国のものなのよ
と、言ったら
君は目を丸くして色々聞いてきたね
東京の凍りつきそうな夜に
白い息をふっと吐き出して
私は記憶をたどって常夏の話をする
うちの庭のユリやゴーヤのことや
黒砂糖がおやつだったこと
民謡も教えてもらったよと言ったら
君は知りたいと言うので
照れくささを感じながらも
懐かしい歌詞を口ずさんでみる


てぃんさぐぬはなや ちみさちにすみてぃ
うやぬゆしぐとぅや ちむにすみり


指先に息を吹きかけたら
爪が薄紅色に染められたように熱い
カサカサと両手をこすったら
君が何か言いたそうに見つめるので
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