ゆきだるまの葬列/北乃ゆき
はしっこのはしっこに立つぼくを知っていて
知らないふりをしたじゃないか
知らなくてもいいと思ったじゃないか
ぼくはきみがきらいです
ゆきだるまは
ぐしゃぐしゃな顔と
汚い胴体
ぼくはきみがきらいです
1本しかない手と目
口はもうありません
ぼくはきみがきらいです
クラスのみんなは
ゆきだるまの事なんてすっかり忘れて
今日は体育館で遊んでいます
ぼくはきょうもひとりです
ゆきだるまもきょうはひとりです
ぼくはきみがきらいだったけど
くずれたきみの姿が
ぼくに似ているから
ひとりとひとりで
ふたりでいるような気がします
4日前みんなが遊んでいた校庭のはしっこは
今はもうどろどろで
ゆきだるまと雪の塊の中間のような物体が
あるだけです
明日もきっと
お日様がかがやいて
明日には
ぼくはまたひとりです
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