遠くから眺めていたい人/腰抜け若鶏
 
あれは恐怖だろうか?生理的嫌悪というやつか?正体は不明だ。

彼の側から一刻もはやく離れたかった。
彼の姿を見てニヤニヤ笑っている少女達がいた。
隣に並んでいることがとてもとても恥ずかしかった。

けれども内心、僕は彼と話してみたくて堪らなかった。
彼の私生活がどうなってるか?とか、やっぱり彼氏いるの?とか。
ものすごく興味があった。僕はそこに言い知れぬ危険な魅力を感じていた。

この感じは本屋に置いてあるえっちな本を遠くから眺めているのと似てる気がした。
でも、もし向こうが話しかけてきたなら僕はきっと一目散に逃げ出しただろう。
彼は遠くから眺めていたい人。自分の人生とは無関係だからおもしろいのだ。


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