寂寥アストロラーベ/仲本いすら
 
願いをかけたテラスに
立て掛けてある望遠鏡は

星を見るために
存在(あ)るもの

生い茂る草に
宵の露が
降りかかった時

覘き口(レンズ)は静かに光る


星を見ていたいと
嘆いていた盲目の父は

いつからか
星を詠う
詩人と化して

いつのまにか
北斗七星は

濁りながら
堕落を繰り返している

夜明けはもう
近い。


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