風花/純太
風花の
細雪が落ちてきた
七輪の上にのっている
二つきりのホタテにも
降る度に
曇った空を見上げると
雪はいつも
遊びながら落ちてくる
ときどき気まぐれに
°し 。
と書いたり
または
°く。°つ。て°。の°
。へ。。ろ。ん°。
などと
風とひらがなを描きながら
俺の唇に辿りつく
雪は何かいいたげで
カワイイやつらだ
追った一つの細雪が
ホタテの食べ頃を
教えてくれた
七輪の中で
赤く火照った炭と交わる細雪
そうだ
人は雪が降る折々に火を求める
冷たさだけではない
氷点を知るから
暖かさの価値を知っているのだろう
細雪はもう一つ
俺に教えてくれたんだ
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