歯医者の先生は/蒼木りん
 
歯医者に通い
歯を全部奇麗にしたい
歯医者の夫を
もしくは愛人を持てばよかったと思う
そんな文章で書くと
下品でした

人は
自分が少しでも辛いと
少しでも楽な人を妬むものなんだなと
眺めていました
同意を求められて
敵にはしないことにしました
近親者のためです

吐き気がしますか
実は
私は嫌悪感を持ちます
それを隠そうとするのは
他人も自分も否定しようとする
罪悪感で
小さな枠の中で
自分サイズの
小さな縄張りの中で
身の程を確かめているのでしょう

やがて
オオイヌノフグリや
ホトケノザが根をはり
大地を覆いだすと
私は埃と頭痛に迷
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