寓話 不可解な死 43/クリ
 
彼は鼠を飼っていました。名前をデルと言いました。
昼間はポケットに、寝るときはベッドのわきに、いつでもデルを傍らに置きました。
デルは何度も危機を察知して彼を救ってくれたからです。
動物には、迫っている危機、災害を予知する能力があると言われます。
デルにもそれがありました。
デルが落ち着かなくなって少し経つと、なんらかの事故や災害が勃発するのです。
それに気がついてからというもの、彼はデルを連れて歩くようになりました。
アパートが火事になって全焼したときも、
乗っていた電車が脱線して多くの死傷者が出たときも、
彼はデルの「予知」によって命を救われたからです。

ある日またデル
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