雪白の約束/銀猫
 
コートの袖口に
凍った風が刺さり
いつか繋いだ掌を思った

小さな歴史が吹き飛びそうな日には
冷静を乱し
きみ行きの列車に
乗ろうかと考えたりする


枕木に光る足跡を
小さな獣が追いかける
希望、と書かれた列車の
指定券を買って
淡い海のような駅の名を告げ
肩に食い込むバッグ投げ出し
本能の場面を披露したなら
笑顔のひとつくらい見られるだろう


きっとそこでは
月も切ない雪白に
氷の剣を讃える

   抱き合いたい
            抱き合いたい
        
        明るい夜を
           きみと
                 溶ける

月長石の降る指輪は右手にして
ふたりから等距離にある約束を
どこかの森に隠しに行こう

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